数年前にこんな事がありました。
その人は、現場の皆さんとは良い関係を築くのは上手いのですが、仕事や現場を動かすための資料を作るのが致命的に遅い人でした。
そこで、若手の補助をつけその遅さを補おうとしましたが、ギリギリまで資料を手元に抱え、納期直前で丸投げをしてくるという、ある意味若手を鍛える意味では最高の人でした。
彼の下で働いたことのある人たちは皆、短納期で仕上げる生産性の高い働き方を習得することと引き換えに、彼との関与を避けるようになりました。
当時私は、彼と共に働いていたのですが、時間軸の違いと悪びれない姿勢にイライラがピークに達し、書類作成をルーチン化して、彼がいなくても回る様な仕組みを作り業務を運用していました。
その仕事もいったん終了し、私と彼は別案件を担当することになりました。
しかしながら、当時の上司は再び別の若手をつけて、彼に自覚と成長を促し続けていました。
結果として、現在のところ彼は全く変わることはなく、彼の元から書類作成のエキスパートが多数輩出される状態になっています。
当時の私は、彼や彼の上司に対して「いったい何を考えているのだろう?」と、不信感すら抱いていました。ダメなら切ればいいじゃん!って。
その後すぐに、私も部下を持つようになり、ようやく理解できました。
人って、一筋縄ではいかないことを。
「普通の人」は、誰一人としていないことを。
自分がいかに偏った考えを持っていたかを。
人の成長を望むとき、どれほどの忍耐力が必要かを。
こうして書き出すと当たり前の事なのかもしれませんが、自分は全く分かっていなかった。
それを嫌というほど思い知った時に自分の無知を恥じ入り、当時の上司に謝りました。
今年も若い子達の言動から、自分の視野の偏りと視座の低さに内心焦ることもしばしばあります。
部下の成長を促しつつ、自分もそれと同じだけ学びを得ていくことが出来るのだと理解したときに、少しずつ長い時間軸で物事を眺めることが出来るようになってきました。
この忍耐と学びは、部下を持ち続ける限りずっと続きます。
だって「普通の人」は誰一人いませんから。
★★★
一方、私には3人の子供がいますが、部下の様にはいきません。
大切な分身であるとともに、十数年間、私が最適だと考える生き方を押しつける一方、子供たちは反発することで(ある意味)戦ってきた相手です。
骨肉の争いって相続時だけではなく、このようなときにも表れます。
ただ、仕事上とはいえ人間についての学び始めた今、子供たちの成長を誰よりも望む者として、すごく怖いですが、もう少し手放す努力をしてみた方が良いかもしれないと思うようになりました。
10年後、妻と子供たちと笑っていられますように。
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